遺産分割の調停と審判

1 遺産分割調停とは?

(1)遺産分割調停は、相続人間での協議がうまくいかない場合に家庭裁判所に申し立てることにより、家庭裁判所で話し合いを行う手続です。調停は、調停委員2名が当事者双方の話を聞きながら、話し合いでの解決を模索していきます。

(2)手続の流れ

①家庭裁判所への調停申立

②第1回期日の指定

③第1回期日に出頭し、双方が意見を述べる

④期日を繰り返しながら合意ができた場合は、
調停が成立し、調停調書作成
or
合意ができなかった場合は、調停不成立となり審判に移行

2 遺産分割審判とは?

(1)遺産分割審判とは、調停が不成立になった場合に審判という手続に移行し、当事者双方の主張、証拠に基づいて、裁判官が判断を下します。裁判で裁判官が判決をするのと同じイメージで考えればわかりやすいと思います。

(2)調停前置主義~調停から審判へ~
遺産分割は、調停前置主義といって、まずは調停での話し合いで解決を試みます。それでも合意ができない場合に、最終的に裁判官が判断をするという流れになります。この裁判官の審判に不服があるときは、抗告という手続をした上で、高等裁判所で改めて判断されることになります。 つまり、遺産分割は調停で合意ができなかったとしても、最終的には結論が下されることになるのです。

(3)手続の流れ
①調停不成立

②審判に移行

③第一回期日指定

④双方から期日までに追加の主張、証拠の提出

⑤第1回期日に出席
※審判では双方が同じ部屋で行うのが通常で、相手と顔を合わせない調停とは異なります。
⑥期日の内容次第で、何度か期日を繰り返し、そこでも合意の可能性を模索します。

⑦審判日が決められ、審判が下される
→審判が下されると2週間で確定します。不服があるときは2週間以内に抗告をする必要があります。

(4)調停に代わる審判
調停で合意が形成できないときに調停に代わる審判を裁判官がすることがあります。調停に代わる審判とは、調停で完全な合意に至らないもの、ほとんどの点では合意できており、わずかなところで、合意できない場合や、一人の相続人が少しのところで譲歩しない場合などに、裁判官がこれまでの調停の経緯を考えて、職権で審判をします。家事事件手続法284条に定めがあり、通常の審判に移行せずに、審判を出すというものです。通常の審判ではないので、これに不服があるときは、異議申立を行えば、通常の審判に移行し、上記(3)の手続を行うことになります。

 

3 調停・審判を弁護士に依頼するメリット

①法的な判断、主張を弁護士が行います

遺産分割は、法的な争点を多数含んでいます。調停は話し合いですが、裁判所は、あくまで法的な側面から調整をします。的確な法的
主張、立証をしていかなければ不利益になりかねません。審判は、裁判のような手続なので、より難しいでしょう。

②手続の進行を弁護士に任せることができます

調停、審判の期日は当事者は出席できますが、場合によっては弁護士だけで対応することも可能です。裁判所への対応など、本人では難しいことも全て弁護士が行います。精神的ストレスからの解放も大きなメリットと言えるでしょう。

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